私たちが「しあわせさん」と呼んでいる自然食品店がありました。
昔からとてもお世話になっていて、毎週配達してもらいました。子ども達の体はしあわせさんによって作られたと言っても過言ではありません。貧乏所帯の我が家のエンゲル係数はとても高くいつまで続くかといつも心配していましたが、何とか子ども達が家を離れるまで続けられたのもしあわせさんあっての事！病気ひとつせず、歯医者にも一度も行かずに済んだのもしあわせさんの食材のおかげと感謝しています。子ども達は毎週しあわせさんが来るのを楽しみにしていて、しあわせさんの唄を作ってはまだかまだかと待っていたものです。いざしあわせさんがみえると、恥ずかしくて襖の陰に隠れて私としあわせさんのやり取りを聞いていました。
そんなしあわせさんが昨年の暮れにお亡くなりになりました。いろいろあって大変だったようで、今年春にお花を持って伺ったのでした。そして今日「お盆も過ぎたので」とお返しをもって奥様が訪ねて来て下さいました。
「不器用な生き方だったけれど、正直でそんな主人と４０年連れ添って私はとても幸せでした。」と仰る奥様に涙がほろり・・・・・・私も「うそ偽りなく生きて、人間この上ない上等な方でした。もうしあわせさん以上の方に出会う事はそう無いでしょうね」とまたまたほろり・・・・・ネットの時代になり、自然食品店も止めてしまわれましたが、出会えた事は私にとってとても幸せで生き方の指針を教わった方でした。しあわせさんのように全てを受け止めいつも穏やかではいれませんが、少しだけ心が穏やかになれたらと思う今夜です。
背負子になってた網かご。きっと木の繊維で作られたもののようです。
蓋には刺し子の絣をつけてみました。紐も味のある古手の背負子紐です。
